DIYで石膏ボードに壁掛けテレビを取り付ける

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 基本的に石膏ボードには重量物を取り付けることが出来ないとされていますが、石膏ボードの壁に壁掛けテレビをDIYで施工しました。この記事では実際に私が施工した方法を紹介します。

 ウチのテレビはSHARP LC-37DS5 という2008年製の液晶です。このテレビを今更ながらに壁掛けにしようと思った理由は、部屋の広さを演出したいからです。正直なところショボいサラリーマンの安月給では広いお家は買えないので狭い家をいかに広く見せるかが勝負!と言う事で壁掛けに挑んだ次第です。

 しかし自宅の壁は石膏ボードの裏に間柱がない「GL工法」という、壁掛けテレビを施工するには少し厄介な壁でした。石膏ボードの裏にある柱に壁掛けテレビの金具を固定しますが、GL工法の石膏ボード壁には間柱がなく難しいらしいです。しかし、そんなGL工法の石膏ボード壁でも、「どこでも下地」を使ってDIYで取り付けることが出来ましたので、その方法を紹介します。
 サクッと読みたい人は「取り付け作業」の項まですっ飛ばしてください。

壁掛けテレビの金具

 テレビを壁掛けにするには、壁掛け用の金具が必要となります。通常の液晶テレビは床やテレビ台に置けるように足がついていますが、この足を取り外して、テレビの背面にあるネジ穴を使って壁に固定します。
 テレビは直接壁に取り付けるワケではなく、専用の取り付け金具を使って取り付けます。金具によっては横や斜めに方向を変えられるもの、回転させられるものなど、いろいろな機能が付いているものがあります。また、テレビの大きさによって使用する金具のサイズが変わります。選んだ金具がテレビの重さに耐えられるかも、よく確認する必要があります。

壁掛け金具を選ぶ

 まずは壁掛け用の金具を選ぶために、どんな機能が必要かを考えました。
 将来テレビを買い換えた時にも使えるように、メーカー純正品ではなく汎用品で、かつ各種調整機能が豊富なハイグレードモデルを選びたいと考えました。ネットで調べたところ、楽天の壁掛けショップで色んな種類の金具があったので、自分に合ったものを探すことにしました。

 壁掛けテレビは壁に固定してしまうと角度が調整出来ないと思いがちですが、下のリンクにある金具は、首振り調整±40度、うつむき調整±15度、水平調整±5度の範囲で調整が出来ます。そのため、壁に取り付け後の配線がすごく楽であることと、万一金具を壁に取り付けたときに、水平を取るのを失敗した場合でも、金具で微調整が出来ることが選択の決め手になりました。

 また、テレビを壁にぺったりくっつけた場合に35mmの薄さにも関わらず、アームを伸ばした場合、260mm程度手前に出すことも出来るので、設置した後の自由度の高さもうれしいです。

テレビを取り付ける壁の構造

 壁に金具を取り付けるのですが、壁の材質によって耐えられる重量に制限があります。我が家の壁の材質は石膏ボードなのですが、石膏ボードは強度が弱く、テレビの様な重量物を取り付けるのが難しいことが分かりました。ここではその解決策をご紹介します。

石膏ボードに壁掛けテレビは取り付けられるのか

 壁掛けテレビは人の頭の高さに10kgを超えるものを壁に取り付けるわけで、安全面からも壁の強度が非常に重要になります。

  私がテレビを取り付けたいと考えている壁には、石膏ボードが張り付けられていました。石膏ボードは、その名の通り石膏を板状にして紙で挟んだ建材です。耐火性、断熱性、遮音性が良いため建材として優れていて、カッターナイフ等で簡単に切れる事から施工性も良いため、住宅の内壁にたくさん使用されています。
 しかし、石膏ボードは強度が弱いため、単体で荷重を支えるような使い方は出来ません。そのため、石膏ボードの壁にテレビを取り付けるには、石膏ボードの裏にある壁や支柱にネジを打ち込み、テレビの重さを木の柱(間柱)で支える必要があります。

壁に棚などを付ける際に、クギやネジを打ち込む必要がありますが、もろい石膏ボードや合板だけに打ち込んでもクギやネジがすぐに抜けてしまいます。しかし間柱まで打ち込めばクギやネジが抜けにくくなります。そのため壁に棚等を付ける場合は間柱があるかどうかを調べることが大切なのです。

sumo「間柱とは」 https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/other/mabashira/

 間柱が入っているかは、石膏ボードの壁をコンコンと叩いて響く音である程度分かります。良く響く場所は裏側が空洞で、響かない場所は何か支えとなる物が存在しています。とはいえ、キッチリと間柱の場所を特定するなら、コンコンと叩くようなローテクではなく探知機を使った方が確実です。


 テレビを取り付けようと考えている壁を、試しにコンコンと叩いてみましたが、下地が入っている場所が点在している様です。間柱が入っていれば、音が響かない場所が縦に続いているのですが、どうもそんな感じはしません。

GL工法

 下地が点在するような石膏ボードの取り付け工法があるのかググって調べてみたら、GL工法と言うものがある事が分かりました。 GL工法はマンションの躯体(コンクリート)に「GLボンド」というセメントの団子を塗り付け、その上に石膏ボードを張り付ける工法です。
GL工法の本家「吉野石膏」で良く解る写真がアップされてます。

 更に調べたところ、GL工法の壁にテレビを取り付ける場合は、石膏ボードの奥にある建物の躯体(コンクリート)にアンカーボルトを打ち込む方法しか無いことも分かりました。アンカーボルトはコンクリートに打ち込むため、壁掛け金具を非常に強固に取り付けることが出来ます。しかし、コンクリート部分はマンションの共用部のため、工事にはマンション自治会の承認が必要です。また、必然的に工事のレベルも高くなります(振動ドリル等は持っているのでDIYでも出来るっちゃ出来るんですが)。

 躯体への工事となるとハードルが高いので、別の解決策を見つけるしかありません。

解決策

GL工法の石膏ボード壁に対して、DIYで壁掛けテレビを取り付ける方法を2つ見つけましたので紹介します。

石膏ボード用の壁掛けテレビ金具で解決

 一つ目の解決策は、石膏ボード向けの取り付け金具を使用する方法です。 あらためて壁掛けショップを見てみると、石膏ボードに対してステープル(ホチキス)で固定する金具を発見しました。壁と接する部分の面積を大きくし、ステープルを何百発も打ち込むことで、必要な強度を得ている様です。 副次的な効果として、ホチキスの針を使って留めるため、壁の穴が目立ちません。そのため、賃貸住宅でも壁掛けテレビを設置できることが、この製品の最大のメリットと言えます。

  一見して「これで良いじゃん!」と思いました。しかし、私は各種調整機能(パン、チルト、ロール)付きの物が欲しかったのですが、この製品はその機能がありません。さらに、強固に固定するためとは言え、ホチキスを何百発も打ち込むなんて気が遠くなりそうです。そのため、この金具を買うのはやめました。
 しかし、この製品の存在で、石膏ボードに対してテレビが設置出来る事は分かりました。石膏ボードに対して、強固なアンカーを打ち込んで固定出来れば、他の方法でも良さそうです。

石膏ボード用アンカーで解決

ボードアンカーG4は使えない

 DIYで石膏ボードに軽量なものを固定する際に、私は「ボードアンカーG4」というアンカーを良く使っています。ボードアンカーは、石膏ボードにねじ込むのが簡単ですし、意外もネジがしっかり効きます。こんな便利なボードアンカーですが、最大の弱点は、引き抜き強度が非常に弱い事です。試しに、設置したボードアンカーを、思いっきり引っ張ってみると分かりますが、大した抵抗感もなく、ボードアンカーごとズボっと抜けてしまうと思います。(石膏ボードに大きな穴があくのでご注意)

 ボードアンカーは、鉛直方向で静止している加重であれば割と強度が出ます。私は、エアコンの取り付けに、ボードアンカーを使うことがあります。エアコン自体は重いですが、ほぼ鉛直方向の加重ですし、エアコンは一度取り付けたら動かすことが無いので、ボードアンカーでも十分支えることが出来ます。
 しかし今回は、テレビの取り付け金具が可動式のため、引き抜き荷重がかかることが想定されるので、ボードアンカーG4は絶対に使えません。

「どこでも下地」で解決

 石膏ボードにしっかりネジか効いて、引き抜き強度も丈夫なものがないか、ググってみたところ、高島株式会社というところから「どこでも下地」という、抜群なネーミングセンスの製品が出ていることが分かりました。

  「どこでも下地」は石膏ボードに下穴をあけて、その穴に水を含ませたスポンジを挿入し、「どこでも下地」の薬液を注入すると、薬液と水分が化学反応を起こして硬化し、スポンジが強力なアンカーになるという物です。ついでに薬液が石膏ボードに染み込んで、穴の周囲の石膏ボードそのものを強化します。これならテレビを取り付けても問題無さそうです。

 メーカーサイトを見ると、引き抜き荷重は最大60Kgとなっているので、安全のためネジを複数使用して取り付けすれば、テレビ程度の荷重は問題なさそうです。どこでも下地は、ネジを抜いたアンカーに、再度ネジを揉んだ場合でも、3回までは同様の強度が出るとのことです。取り付けし直すことは殆どないと思いますが、仮に金具を付け替えることになった場合でも、同じネジ穴を問題なく使えます。

 また、テレビを撤去した後の事を考えると、ボードアンカーG4の場合はアンカーを抜くと大きな穴が残ってしまいますが、どこでも下地の場合はネジ穴だけが残るだけなので、上から壁紙を貼るなどの修復もしやすいと考えられます。

工具の準備

 工具は基本的にプラスドライバー1本あれば大丈夫ですが、どこでも下地の施工には石膏ボードの穴あけが必要なので電動ドライバーを準備しておいたほうが良いでしょう。

おすすめ電動ドライバー

 ガツガツDIYしたい人には少し物足りないけど、たまにDIYしたい人にはちょうど良い電動工具を2つ選びました。ド定番な製品なので不満なく使えると思います。

BOSCH IXO5

世界的な工具メーカーBOSCHの電動ドライバーです。これはコンパクトでパワーも手ごろなので女性でも使いやすいです。

DIYの王道ブラックアンドデッカーPLR3602-JP

BOSCHよりもネームバリューは劣りますが、その分機能が充実しています。7段階のトルク切り替え機能が付いているのと、本体形状がストレート/アングルに切り替えられます。

ドリルも忘れずに

上の2機種はどちらも六角軸なので通常チャックで挟むドリルは使えません。六角軸ドリルも忘れずに買っておきましょう。どこでも下地は8~10mmの下穴をあける必要があります。(最悪プラスドライバーをネジネジして石膏ボードに穴をあけるのもあり)

取り付け作業

 ここからは、「どこでも下地」というアンカーを使って、石膏ボードに壁掛けテレビを取り付ける作業について、書いています。私の場合は上手く施工出来ましたが、世間的には石膏ボードに壁掛けテレビを取り付けるのは、非推奨の様です。石膏ボードの奥にあるコンクリート壁に、スタッドボルトを打ち込んで取り付ける方法が推奨です。

「どこでも下地」の下穴をあける

 どこでも下地の説明書を読むと、下穴のサイズは8~10mmだそうです。手持ちのドリルで一番ふとい、8.5mmのドリルを使って石膏ボードに下穴をあけました。壁紙を処理せずにドリルを壁に立てたところ、ドリルが壁紙を巻き込んで下穴よりもだいぶ大きく壁紙が破れてしまいました。2つ目の下穴をあける際は、周囲の壁紙を事前に切り取り作業しました。

石膏ボードにドリルで穴をあけました

「どこでも下地」でアンカーを作る

 どこでも下地の説明書通り、濡らして絞ったスポンジを穴に突っ込んで薬剤を注入します。この時薬剤が垂れてシミになる事があるらしく、説明書には周囲をマスキングする様に書かれています。しかし私は面倒だったので、マスキングなしでやりました(どーせテレビで隠れる部分ですから)。
 薬剤が少し硬化したら(1分くらい)、穴から飛び出ている余ったスポンジ部分をカッターナイフで切り取ります。 90分程度で完全硬化してネジを揉めるようになります。私は様子を見るためにこの状態で一晩置くことにしました。

どこでも下地を施工しました。みるみるうちに硬化します

壁掛け金具の取り付け

 一晩経過したどこでも下地は樹脂の様にカチカチに固まっていました。後は壁掛け金具の説明書に従って取り付けるだけです。
 どこでも下地が石膏ボードからボソっと抜けてしまわないか、心配しながらビスを締めましたが、ドライバーの手ごたえは、普通に木や硬い樹脂にネジを打つ感覚と同じでした。少し強めに締め込みましたが、穴がバカになるような感じはなくシッカリ固定することが出来ました。

どこでも下地に木ネジを使って壁掛け金具を固定します

 6本のネジで取り付けて、思った以上に強固に固定出来ています。落ちたら怖いのでぶら下がる様なテストはしていませんが、力を入れてもビクともせず普通に使えています。金具の取り付けが出来たら後はテレビをぶら下げるだけ。二人で作業すればとても簡単ですが、37インチくらいだと一人でも何とかなりました。こんな感じで無事に完成!

しっかり取り付け出来ました!

2020年8月22日更新

 記事作成時点から6年が経過しましたが、テレビが落ちる事もグラつくことも無く、安全に使用できています。角度を自由に変えられる取り付け金具なので、観る人の方向に振り向けることが出来るので、非常に便利です。
 実は今年の7月に壁掛けテレビは取り外し、出窓に移設しました。詳しくは「出窓に液晶テレビを設置する」をご覧ください。ちなみに、これまで6年以上重いテレビを支えていたどこでも下地はどうなったかというと・・・

施工から6年が経過したどこでも下地

上の写真は取り外した後のどこでも下地を撮ったものですが、何も異常がない事が分かります。実際にネジを外す際もしっかり抵抗があり(穴がガバガバになってると抵抗なくネジが回ります)、6年たっても全く問題が出ていない事が実感できました。

壁掛けしたいけど、やっぱり落ちてきそうで不安だな・・・と思っている方の参考になれば幸いです。

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