Ryzen7 5800X & Radeon RX 6750XT に移行した

パソコン

 前回の記事で、PCの構成をIntel Core i5-10400FからAMD Ryzen5 3600Xに変えたことを書きました。今回さらに短期間でCPUを3600Xから5800Xに交換して、GPUをGeforce RTX3050からRadeon RX6750XTに交換しました。その顛末を記載します。

Zen4世代が登場するので、Zen3世代への移行を考える

 2022年8月下旬にCore i5-10400FからRyzen5 3600Xに換装して、1か月ほど使用してみました。パフォーマンスに特に不満はなく、安定性も問題ありませんでした。しかし、なんとなくモヤモヤが残ります。僅かなスペックアップを根拠にIntelからAMDに積み替えましたが、やはりスペック的にほぼ同等という点が腹落ちしないのです。2019年の夏に発売されたCPUを、3年も経過してから導入したことも、モヤモヤの原因のひとつです。

 PC業界では、2022年の秋にAMDのZen4(Ryzen 7000系)が登場するとのことで、賑わっている状況です。価格の面を見てみると、折からの円安基調により、次世代製品は総じて値上げが予想されます。これに対して現行のZen3(Ryzen 5000系)は、Zen4登場の前準備のためか、夏以降に価格が大幅に下落している状況でした。そのため、「今のうちに、Zen3に移行するのが得策かもしれない」という思考になるのは自然なことだったのです。

移行先はRyzen7 5800Xに決定

 では、Ryzen3 3600Xからの移行先として、どのモデルが適当なのか?ターゲットになりそうなものをピックアップして、それぞれの考察してみました。

Ryzen7 5800X3D・・・3D VCache搭載。性能ぶっちぎりだが、価格は5~6万円とお高め。
Ryzen7 5800X・・・Zen3のミドルハイ。なぜか最近メッチャ値段下がっています。
Ryzen5 5600X・・・3600Xの純後継。値段は安いけど、3600Xから移行するほどの魅力がない。

ターゲットはRyzen7 5800Xが良さそうです。巷では爆熱との評価ですが、Core i5 10400Fには無駄と思いながら買った360mm簡易水冷が、本気を出せる様になるので好都合です。

 価格推移を見てみると、2022年9月後半時点では、5800Xの価格は3万円台後半でした。1か月前の8月下旬の35,000円と比較すると、少し値上がりの傾向が見えていました。若干とは言え最安値から上昇した価格を見ると、買うのをためらいます。決断するための”あと一声”の何かが欲しい感じです。

 そんな”あと一声”を探し、ネットをうろうろしていると、ところどころゲリラ的に特価を出しているとの情報を見つけることが出来ます。ただしゲリラ的な特価は実店舗でやっていて、引きこもりの私には購入が難しいです。

 そう考えていた時に近所のソフマップで、Ryzen7 5800XとCORSAIRのDDR4 3600MHz 16GB (8GBx2)のセットが、38,800円で販売されているのを見つけました。この価格は全国のソフマップ共通のフェアで、ネットショップも同価格となっていました。CORSAIR DDR4 3600MHz 16GBは実勢価格は9,000円ほどなので、Ryzen 5800Xは実質3万円を切っている計算となります。これは安い!

メモリは既存のもの(DDR4 3200MHz 8GB×2)を使いまわす想定でしたが、有っても困らないので、これを購入することにしました。


グラボも値下がりが激しくなった

 グラフィックボードは、現行のGeforce RTX30##系は、2020年末の登場時から、半導体不足や仮想通貨マイニングのブームの影響を受け、メーカー想定価格を超える価格での販売が続いていました。

 ところが2022年に入り、仮想通貨が暴落し、マイニング需要が一気に覚めてしまったのです。また、マイニングやゲームユースの需要に応えようとメーカーが増産したら、需用の減少から逆に供給過多に陥り、在庫がダブつく状況となった様です。さらに、リリース初期と比較して大幅に値上がりするという、通常のPCパーツにはあり得ない価格推移もあって、嫌気がさしたマイナー以外の一般ユーザーの需要も冷え込んだ様です。この様な要素が相まって、2022年後半のグラフィックボードの価格は、爆下がりと言っても良い状況になっています。(それにしてもグラボ1枚5万円とか狂気ですけど)

 Geforce RTX3060を嫁に譲渡した私は、一時しのぎとしてRTX3050を使用していましたが、CPUのスペックが上がるのにGPUはエントリーモデルというのも少し物足りないです。そう考えていたところに、GPU価格が下がって来たワケです。そこで、RTX3080、3070Ti、3070のうち、お財布事情に合うものがないか、ウォッチを続けていました。しかしCPUと同じく、時折ゲリラ的に特価は出るものの、タイミングと場所が合わず、なかなか購入することが出来ませんでした。

Radeonではダメでしょうか?

 Geforceで出物がないかチェックを続けていましたが、ふと、Geforceで良いのか?という疑問が湧きました。

 私はRiva128の登場時から、ほぼ一貫してNVIDIAを使ってきました。ATIの製品は初期のRadeonと、HD4000系の廉価版を使ったことがある程度です。AMDが買収する前のATIのGPUは、一般向けのパソコンにオンボードチップとして良く搭載されていました。廉価なので良く採用されていたようですが、性能がショボすぎて、私をATI嫌いにさせました。その後Radeonが登場して、NVIDIAと対抗できる性能を獲得しましたが、やはり2番手ポジション昔から変わっていないと私は思っています。しかしCPUにRyzenを据えたからには、GPUもAMDで揃えるべきでしょう。

 Geforce RTXの売りは、レイトレーシング機能です。レイトレを有効にすると、画面は美しくなりますが、FPSが下がってしまうので、高FPSが必要なゲームでレイトレは使いません。レイトレの次の売りはDLSSです。フォートナイトでDLSSを有効にした場合、低設定でもオブジェクトは綺麗になりますし、目に見えてFPSが上がるため、必須の機能だと思います。

 これに対してRadeonは、レイトレはありますが、正直いってパフォーマンスはGeforce RTXに敵いません。ですが、”そもそもRTXでもレイトレ使わんやん”、”レイトレ使うのは低FPSのゲームやん”となり、Radeonでも問題ないよね、ってことに気が付きました。

 Radeonのパフォーマンスアップ系の機能として、RadeonにはRadeon Super Resolution(RSR)という、FPSを爆上げさせる機能があります。RSRはザックリいうと、アップスケーリングによる描画処理の低負荷化です。通常、フルHDのモニターにはフルHD解像度で3Dの演算処理を行います。これに対してRSRでは、低い解像度で3Dの演算処理したあと、フルHD相当に精細化(アップスケーリング)します。低解像度で3D処理をすることで負荷を下げるテクニックです。

 従来のアップスケーリングでは、足りない解像度分を単に引き延ばすだけだったので、アップスケーリングした映像は何となくボヤっとした印象になることが多かったです。この点をRSRは改善していて、ネイティブなフルHDと比較しても、遜色ない程度の画質が得られます。激しく動き回るFPS/TPSゲームでは、多少の画質低下は気にならず、むしろ高フレームレートで安定している方がプレイしやすいです。

 レイトレ使わんし、RSRでFPSも確保できる、となれば、もうRadeonで良いじゃないか。。。

Radeon RX 6750XTをゲットする

 NVIDIAがRTX40##をリリースする様に、2022年後半にAMDもRadeon RX 7000系をリリース予定です。そんなワケでRadeonの現行モデルは末期となっていて、値下がり傾向となっているようですが、9月は若干ですが値上がりに転じているようにも見えます。CPUの価格傾向と同じく、円安基調の影響を受けているのか、安くなると思って待っていたら値上がりした、という状況になりそうな予感もします。

 また、Radeonは2022年の夏前に、マイナーバージョンアップしたGPUを投入しました。と言ってもベースとなるGPUをクロックアップしただけの、なんちゃってバージョンアップです。

 オーバークロック版グラボといえば、グラボメーカーが冷却機構などを設計し、GPUが許容できる範囲に収まるよう熱設計したものを、オーバークロック(OC)モデルとして発売します。対してAMDがリリースした新GPUは、ベースとなったGPUの仕様は全く同一で、わずかにクロックアップしたもの=AMDがクロックアップを保証したもの、と解釈できる製品です。(上で「なんちゃって」と書いた理由です)

 AMDが今夏リリースしたGPUは、Radeon RX 6550XT、6750XT、6950XTです。先述の通り私は、RTX3080~3070を狙っていましたので、対抗となる6750XTがターゲットとなります。6750XTは、性能はそこそこ良いのに、安ければ6~5万円台で買うことが出来ます。この値段ならお財布事情にマッチします。

Ryzen7 5800XとRadeon RX 6750XTをぶち込む

今回買ったパーツたち

 世の中はRyzen 7000系やRadeon 7000系に移行するというのに、私は1世代前のものを今買おうとしています。というか私は昔から、1世代前こそコスパが美味しいと思ってます。

 ちなみに、中古PCから移植した電源ユニットがフルモジュラー仕様でしたが、一緒に搭載されていたRTX3050は8pin1本仕様だったので、8pinケーブルが1本足りない問題がありました。モジュラーケーブルを自作して回避しましたが、この話は別の機会に記事にします。

ベンチマークの結果

 Ryzen5 3600Xからの変遷していく中で、軽くベンチマークを取得しました。Ryzen Masterで自動チューニングした状態です。5%の性能を稼ぐために何日も掛けてチューニングして、結果ちょと不安定です。。。とかアホらしいので、自動チューニングだけ十分です。
使用したベンチーマークソフトは、FF15ベンチ(高品質)とCINEBENCH R23です。変更点は赤字記載。

・Ryzen5 3600X + DDR4 3200 + RTX 3050
  FF15:6850
  CINEBENCH:Multi 9505 / Single 1283

・Ryzen5 3600X + DDR4 3600 + RTX 3050
  FF15:6872
  CINEBENCH:Multi 9525 / Single 1285

・Ryzen7 5800X + DDR4 3200 + RTX 3050
  FF15:6868
  CINEBENCH:Multi 15037 / Single 1570

・Ryzen7 5800X + DDR4 3600 + RX 6750XT
  FF15:12750
  CINEBENCH:Multi 15286 / Single 1591

 CINEBENCHはメモリクロックの影響は殆ど受けない様で、3200MHzと3600MHzではスコアにほとんど違いがありません。ベンチマークに使用するプログラムやデータが、CPU上のキャッシュに乗り切ってしまって、メモリにアクセスしないのかも知れません。

Ryzen7 5800Xの簡易水冷化について

 本機の冷却は、ENERMAXの360mm簡易水冷キット「LIQMAX III ARGB White」(ELC-LMT360-W-ARGB)を前面配置、全面吸気として取り付けています。また、天面と背面にケース付属(コルセア4000D)の120mmファンを1基ずつ搭載しています。(後に140mm×2基に変更しました)


 この構成で、CINEBENCH R23実行時のCPU温度は、最大82℃でした。Ryzen7 5800Xの仕様上の最大温度は90℃なので、問題なく冷やせていると思います。人によっては80℃台だと高温と思うかもしれませんが、仕様上の最大温度以下かつ、サーマルスロットリングも発生していないので、必要十分でしょう。

 Ryzen7 5800Xは最大温度が90℃にも関わらず、温度が上がりやすい様なので、ちょっと扱いが難しいかもしれません。最大温度が100℃であれば、印象が異なると思いますが、90℃だと空冷では厳しそうですね。

DDR4 3600MHzとの相性について

 Ryzen7 5800Xとセット売りだった、CORSAIRのDDR4 3600MHzですが、私の環境では若干不安定だと感じています。組み合わせているマザーボードはGigabyte B550M AORUS PROです。XMPで3600MHzに設定して動作させると時折プチフリーズしたり、ゲームが落ちたり、ブラウザがクラッシュしたりするなどの症状が発生します。(この問題は後に、グラフィックドライバーのバグも絡んでいることが判明し、2023年2月に修正されました。)

 そこで、Core i5-10400Fの嫁機にDDR4 3600MHzを搭載し検証したところ、こちらは問題なく動作
することがわかりました。一応1か月程度様子見しましたがフリーズ等の問題事象は発生しませんでした。やはりメモリ制御はIntelの方が安定感がある様です。

 そして嫁機から回収したメモリと私が元々使用していたメモリ、合計4枚を組み合わせてRyzen7 5800Xにセッティングしましたが、こちらも特に問題なく動作しました。この4枚はCrucialのDDR4 3200MHz 8GBで、同時期に購入した同ロット品です。
 Ryzen7 5800Xでシングルランクメモリ4枚構成の場合、DDR4-2933が標準となる様ですが、検証したところ3200で頑張れる様です。CPUから見た場合僅かですがクロックアップとなりますが、メモリとしては標準クロックなので特に問題はないでしょう。

 3600MHzから比べると動作クロックは400MHz下がりましたが、容量は16GBから32GBに倍増しました。なんだかんだで、16GB以上のメモリを消費しているシーンも見受けられるので、有効活用できていると思います。

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